外装リフォーム成功マニュアル⑩ ~屋根対策~
リフォームの死角になりがちな屋根
雨漏り対策の肝・屋根を守る
リフォームをするときに、意外と忘れられてしまうのが屋根。
建物の中で最も過酷な環境にさらされている屋根こそメンテナンスが必要だ。
外壁よりも過酷な環境:屋根は家を守る大切な場所
目の届かない屋根こそ定期的なメンテナンスを
壁の傷みや設備の不具合には気づいても、屋根までは目が行き届かないもの。
屋根は、紫外線や熱、雨風を直接受ける過酷な環境に常にさらされるため、家の中でも最も傷みやすい場所のひとつだ。
屋根の劣化が原因で構造材が腐食を起こしてしまうケースもあるので早めのメンテナンスを心掛けよう。
屋根の主な雨漏れ原因
①家を建てたときの施工不良
施工業者の未熟な工事→築年数が浅い場合は施工してもらった業者に早めに相談しよう。
②屋根の劣化
築10数年が経ち、屋根材が劣化した個所から雨水が侵入。
③屋根の破損
台風による屋根飛散や、地震による瓦破損など損傷個所から雨水が侵入。
④雨戸に詰まり
雨樋から溢れた雨水が壁などから内部に侵入。
⑤太陽光発電や温水器設置個所から
穴を開けて設置したため、不適切な処理やシーリングの劣化箇所から雨水が侵入。
屋根塗料
屋根塗装に適した高機能な塗料が主流
屋根塗料の主流は、高機能でコスパに優れるシリコン樹脂と約15年の耐久性年数を誇るフッ素樹脂。
屋根塗料にも様々な種類があるので、じっくり吟味しよう。
■屋根塗料いろいろ
屋根の塗料も選択肢が多い。ここでは3つの代表的な塗料を紹介。
シリコン
一番主流の塗料。紫外線に強く、汚れも付きにくい。耐久年数は約10年でコストパフォーマンスも高い。
フッ素
値段は高価だが、他の塗料に比べ約15年以上という抜群の耐久性がある。光沢もあり美しく仕上がる塗料。
ガイナ
夏の熱気だけでなく、冬の冷気の断熱する遮・断熱性を備え、節約効果も期待できる。耐久性も安心の約15年以上。ほかにも防音などの高機能がある。
施工上の注意点:屋根材が重なる部分に隙間をもたせる
たとえばコロニアル屋根は、ベニヤ板の上に防水シート、その上にコロニアル屋根瓦という3層構造になっている。しかし、塗装工事で屋根材同士の隙間がなくなると湿気の通気がとれず傷みの原因に!そこで次のような施工が必要になってくる。
適切な隙間で湿気を逃がす
丁寧に施工しても、屋根材と塗膜がくっつくことはなかなか避けられず、外へ逃がせない湿気や雨水が内部に侵入し、ベニヤ板を腐食させて雨漏りの原因にもなりかねない。よって、最終工程として屋根瓦の重なり部分を1枚ずつ切る「縁切り」の作業が不可欠。
屋根を傷つけない“タスペーサー”
縁切りの代わりに屋根材の間に「タスペーサー」と言われる部材を差し込み、適切な隙間を確保する方法も。縁切りでは瓦を傷つける可能性が大きいのでタスペーサーの設置が有効。平均1,000個前後が必要だが、作業時間は2~3時間で済む。3~5万円のコスト増が見込まれる。
屋根+外壁セットにすればリフォームがもっとお得に
屋根+外壁セットで足場代を削減
リフォームは、本体の工事以外にも必要な費用がある。
それを節約するには、できるだけ工事をまとめて行うことがポイントだ。
屋根+外壁リフォームで“消え物”の代金を節約
屋根リフォームには屋根そのものの工事のほかに、足場組立と撤去工事費用が必要にある。この費用は、何か形が残るものではないため、いわば“消え物”の代金。屋根リフォームの為だけに支払うのはもったいない。
結局、屋根も外壁も新築時に同等グレードの塗料が使われているため、どちらもメンテナンスが必要な時期は同じ。“消え物”の代金を考えると、外壁と屋根のリフォームを一緒に行うほうがお得ということになる。
足場系リフォーム
足場をかけたら徹底活用
“消え物”代を節約するため、足場がらみの工事はできるだけまとめて行うことが大切。
屋根や外壁以外にも、足場が必要になる工事があるので確認しておこう。
足場が必要なリフォーム
〇外壁の塗り替え・サイディング工事
〇屋根の葺き替え・塗り替え(緩勾配の屋根は不要)
〇雨樋交換
〇破風や軒天の工事
〇太陽光発電システムの取付
〇高所の窓、雨戸の交換・取付
〇高所の庇、霧除け工事
〇そのほか、高所の外壁を補修する工事が絡むもの など
屋根塗装の流れ
屋根塗装も下地処理の良し悪しで品質が決まる。塗装が剥げないよう、また、塗料本来の機能を十分に発揮させるためにも、下記のように下地処理を着実に行うリフォーム会社を選びたい。
①足場仮設・養生
安全に作業ができるようにしっかりとした足場を組み、塗料が周囲に飛散しないよう、まわりに飛散防止のためのネット張りを実施。
②高圧洗浄
屋根に付着したカビやコケ、ほこりなどを高圧洗浄で洗い流す。通常は60~100㎏/㎤の圧力だが、傷み具合などによって調整。
③下地補修
欠損部分やヒビ割れを補修。塗膜の脆弱部やサビを落とす「ケレン」という作業を慎重に行うことで、屋根塗装工事品質を向上。
④下塗り
下地と上塗り材の密着力を高める役割を果たす専用の下塗り材「シーラー」を塗る。劣化した屋根材に浸透し、既存屋根材を強化。
⑤中塗り
塗料は1度で塗るよりも2度に分けて塗るほうがきれいに仕上がるため、下塗り後に再度塗料を塗布。
⑥上塗り
上塗り塗料を塗る。これで劣化した既存の屋根材をしっかりと強化し、長持ちさせる。中塗りと上塗りは基本的に同じ材料を使用。
⑦縁切り
スレートなどの場合、雨水が屋根の隙間にたまるのを防ぐため、屋根材同士の間にタスペーサーを入れる。
⑧足場解体
塗料飛散防止用のネットを取り外し、組んだ足場を解体。