外装リフォーム成功マニュアル⑧~正しい下地処理~
補修なくして成功なし!
傷んだ下地は補修してから塗装するべし
長時間、紫外線や雨風にされされる外壁は経年劣化が避けられない。
外壁の場合、その劣化を見逃さず、適切な処理をしてから塗装することが重要。
劣化の程度や素材によって異なる、補修方法を整理しておこう。
モルタル編
モルタルは経年劣化によるクラックが発生する資材
モルタルは、水を使って砕石と砂を合わせ、乾燥させて作られるため、モルタル自体の収縮や構造木材の乾燥収縮などによって、表面に微細なクラックが発生しやすい資材である。
特に日がよく当たる建物の壁など面積の大きい面では、乾燥収縮による亀裂を防ぐことは難しい。
また、夏の建物の膨張と冬の収縮を繰り返して大きくなったクラックから雨水が侵入すると、鉄筋全体の体力がむしばまれてしまう結果に。
小さなヘアークラックは「刷り込み」による補修で解決
ヘアークラックとは、髪の毛ほどの幅(0.2~0.3㎜以下が目安)の細くて浅いヒビ割れのこと。
小さなヘアークラックでも補修は必須。塗装だけではその場しのぎになってしまい、数年もするとクラックの跡がでてきてしまう。
ヘアークラックを補修する場合は、下塗り材による「刷り込み」工程が必要。
微弾性フィラーやセメントフィラーなどの下塗り材を、ラスターなどの硬い刷毛を使ってクラックの中に刷り込んで補修する。
危険度の高い構造クラックはプライマー+シーリングで補修
幅が0.3㎜以上で、深さが5㎜以上ある大きなクラックを「構造クラック」という。
放置すると基礎の強度が低下し、建物を支えられなくなる危険も。
構造クラックの場合、微細な地震などの要因でヒビが動くことがあるため、まずは弾力性の高いシーリング材でヒビを埋めることが大切だ。
手順は、シーリングが十分充填されるよう、クラックを工具でV字にカット。そこにプライマーを塗布してシーリング材を充填する。
サイディング編
塗料の高性能化に合わせてシーリング材も進化
サイディングは、つなぎ目にシーリング材を使用している場合が多く、10年も経つと劣化しシーリングがヒビ割れてくる。
劣化の目安は、隙間がでてきていたり、押さえてみて弾力のない状態であるとき。
使用環境によって異なるが、10年ほどで改修を行う必要があるだろう。
近年では、高性能塗料の登場に伴って、シーリング材の性能も高耐久にグレードアップしている。
塗料に合わせて、シーリングも高耐久性なものにしたい。
シーリング材とは
シーリング材とは建物の防水性や気密性を保持するために、継ぎ目や隙間に充填する材料。
シーリングが劣化すると雨水が壁の中に入り込み、劣化を加速させる可能性もある。
高耐久塗料とシーリング材はセットで考えなければならない。
シーリングの劣化進行度
劣化の度合い
[軽度]硬化
劣化の進行度が最も軽い状態。
触ると弾力がなく、硬くなっている
[中度] 亀裂
劣化が中度まで進んだ状態。
雨漏りが発生することも
[重度]剥がれ・隙間
シーリングが剥がれると劣化も重度。
隙間から雨水が建物内に入り込む
[最終]完全な剥離
劣化の最終段階まで進むと、完全に
シーリング材がなくなってしまう
シーリング施工の流れ
放置すると建物本体の劣化も加速させるシーリング材の劣化。
施工の流れを簡単に説明するので頭に入れておこう。
既存
雨風、紫外線などにより劣化しているシーリング部分
1.切り取り
既存の目地内部のシーリング材をカッターなどで取り除く
2.除去
取りやすくなった古いシーリング材をラジオペンチなどで除去
3.プライマー塗布、養生、充填
シーリングを充填する部分に沿って養生テープを張る
4.乾燥
シーリング用のヘラで押さえながら仕上げる
完了
養生テープを剥がして施工が終了
「増し打ち」ではなく「打ち替え」がおすすめ
基本的にはしっかり密着し、雨漏りを防ぐことにつながる「打ち替え」がよいとされている。
既存の上に新しいものを充填する「増し打ち」は、打ち替えよりも施工の手間がかからないので安価だが、
性能性が確保できるかは保証できないので注意が必要だ。